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「アートでつなぐ旧晴海鉄道橋展」開催報告

 

2025年末、江東区豊洲シビックセンター1階ギャラリーにおいて、イラストアート展「アートでつなぐ旧晴海鉄道橋展」を開催した。本展は、20249月に遊歩道として再生した旧晴海鉄道橋を題材とし、橋の保存・再生を地域の出来事として伝えることを目的としたものである。旧晴海鉄道橋は、管理者である東京都により約3年をかけて保存工事が行われ、外観や構造の特徴をできる限り残した形で整備された。

旧晴海鉄道橋は1957年(昭和32年)、東京港に陸揚げされた物資を運ぶ臨港貨物路線(東京都専用線・晴海線)の一部として春海運河に架けられた。戦後復興期の東京を物流面から支えた貨物列車が行き交ったが、モータリゼーションの進展などを背景に1989年(平成元年)に廃線となり、以降は長く使われない状態が続いていた。

会場となった約220平方メートルのギャラリーには、旧晴海鉄道橋を中心に約50点のイラスト作品をはじめ、立体模型や実物資料、協力者から提供された模型などを展示した。専門的な解説や写真のみで構成された展示ではなく、アート表現を通じて、来場者が感覚的・視覚的に橋の存在や歴史を理解できる構成としたことが特徴である。

エントランスには、全長約3.5メートルの旧晴海鉄道橋大型模型を設置した。この模型は、地元私立高校の鉄道研究部の生徒たちが当時の図面を基に製作したもので、鉄道橋として使用されていた頃の姿を忠実に再現している。来場者は最初にこの模型を見ることで、橋のスケールや構造を体感的に理解することができた。

旧晴海鉄道橋は、鉄道用として日本初のローゼ橋であることや、側径間に三連続PC桁を採用した初期の事例である点など、土木技術史の面でも高い価値を有している。保存工事では、こうした技術的特徴が表れた部分を可能な限り残す配慮がなされており、本展ではそれらを分かりやすく伝えるため、精緻なイラストと簡潔な解説を組み合わせて紹介した。

また、臨港貨物線で活躍した蒸気機関車やディーゼル機関車をイラストや図面で紹介し、最盛期には年間170万トンもの貨物を扱っていた当時の様子を伝えた。東京都から提供された、機関車に取り付けられていた東京都章エンブレムの実物大レプリカや、実際に走行する鉄道ジオラマも展示され、鉄道に親しみのない来場者からも関心を集めた。これらのジオラマも、前述の高校生たちによる製作であり、世代を超えた地域参加型の展示となった点も本展を特徴づける要素の一つである。

会場内には、旧晴海鉄道橋を舞台にした漫画作品を大きく引き伸ばして展示し、橋を巡る物語を楽しめる構成も取り入れた。史実に基づきながらも物語性を加えることで、橋を単なる構造物としてではなく、記憶や想像を喚起する存在として捉えてもらうことを意図した。

会期中には、橋の設計者・田島次郎にまつわるエピソードなどを紹介するトークイベントを、橋の愛好家をゲストに招いて開催したほか、展示鑑賞後に実際の橋を訪れるウォーキングガイドツアーも実施した。展示会場と現地が徒歩圏内にある立地を生かし、資料と実物の両方に触れられる体験は、参加者から好評を得た。

展示の締めくくりとして、遊歩道に設置された解説板のデザインや、本展のために描き下ろしたイラスト作品「Parade」を紹介した。旧晴海鉄道橋がこれからも人々をつなぎ、地域に親しまれる存在であり続けることを願い、橋と周辺の風景、人々の往来を一体として表現したものである。

かつては廃線後に長く使われず、都心の中で静かに佇んでいた旧晴海鉄道橋は、現在では地域の新たなランドマークとして再生した。本展は、橋という土木構造物が地域資産として再評価され、次世代へ継承される過程を共有することを目指したものでもある。

この展示の案内動画をこちらで公開しています。展示作品をご覧にりたい方はこちらからどうぞ。

 

 

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